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希望と絶望、羨ましさと嫉妬。
才能のあるふたりの女性が出会ったことで、運命が大きく動き出します——。
木爾チレンさんの『神に愛されていた』は、静かだけど心の奥がぐっと揺れるような、強い一冊でした。

こんな人にオススメ!
- 誰かと自分を比べてしまう人
- 夢を諦めた気がしている人
あらすじ(※ネタバレあり)
美貌と才能に恵まれ、若くして小説家として人気を集めた東山冴理。
けれど、あるとき突然筆を置き、
30年もの間、作品を書かなくなってしまいます。

そんな彼女のもとを訪れた、ある女性編集者。
「白川天音さんの死と関係があるんですか?」と問われ、
冴理はゆっくりと過去を語りはじめます。
――高校時代の後輩・白川天音が「天才作家」として現れてから、
冴理の人生は大きく変わってしまいます。
嫉妬、羨ましさ、憧れ、そして喪失。
30年もの時を越えて語られる、ふたりの女性の物語です。
感想:才能と嫉妬は、女の人生をどう変えるのか?
● 冴理の抱える“生きづらさ”に共感する

冴理は、片付けられない母親とふたり暮らし。
周りの大人を頼れず、自分の頭の良さと小説を書く力だけを頼りに生きてきた人です。
生活のために一時キャバクラで働いたり、
母が火事で亡くなったことに「ホッとした」と思ってしまう冴理の気持ちは、
重くて苦しいけれど、わかる気もしました。
彼女が小説家になったのは、きっと「生き延びるため」だったんでしょう。
● 天音は“純粋すぎる”存在だったのか

天音は、病弱な少女。
入院中に偶然読んだ冴理の小説に夢中になります。
その憧れから、冴理と同じ大学に入り、同じ賞を取り、ついに本人と出会う。
でも、その憧れはどんどん強くなっていきます。
天音は、「冴理が小説を書けるように」と自分を犠牲にし続け、最後には命まで…。
天音の気持ちは、愛情?執着?それとも…?
読めば読むほど、彼女が“どこまで本気だったのか”を考えさせられます。
「神に愛されていた」のは誰だったのか?
タイトルの「神に愛されていた」——
これ、読み終わったあとに、すごく考えさせられました。
- 才能に恵まれた冴理?
- 冴理に出会えた天音?
- どちらも、神に見捨てられた存在だったのかもしれない…
答えは出ないけど、いろんな見方ができるからこそ、このタイトルはすごく深いです。
「希望と絶望はセット」——作者の伝えたかったこと
作中の印象的なセリフに、
「希望と絶望はセットです」
という言葉があります。
この物語は、「才能のある人」が感じるプレッシャーや、
「憧れの人」との距離感に悩む気持ちがとてもリアル。
そして、嫉妬や憧れに押しつぶされそうになる気持ちも、痛いほど伝わってきます。
きっとこの言葉にたどりつくために、この小説を書いたんだと作者も言っています。
木爾チレンさんインタビューはこちら↓
文芸・本のニュースサイト「ナニコモ」(2023.11.3)
子育てや仕事に悩む女性にもおすすめしたい
この本は、「誰かと比べてしまう自分」や「夢を諦めた気がしている自分」に、
そっと寄り添ってくれるような物語です。
・自分は才能がないんじゃないか
・母として、女性として、このままでいいのかな?
そんな不安を抱えているときこそ、この本を読んでほしい。
読み終わったあと、少しだけ自分を許せるようになる気がします。
まとめー-静かで、でも忘れられない物語
『神に愛されていた』は、
派手な展開ではないけれど、読めば読むほど心に染みてくる物語です。
静かで、でもとても激しい。
そして、忘れられない一冊。
ふたりの女性の、ぶつかりあう気持ちと揺れ動く人生。
ぜひ、じっくり味わってみてください。

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