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「死にたい。でも、生きるしかない。」
生きづらさを抱えたふたりが出会ったとき、事件の真相が見えてくる。

「この人、どこで間違えたんだろう?
いや、自分とどこが違ったんだろう?」
と、思わず立ち止まってしまう作品です。
結論:この物語は、誰か一人の痛みじゃない
葉真中顕さんの『鼓動』は、8050問題や引きこもり、氷河期世代をテーマにした社会派ミステリーです。
殺人事件の裏にあるのは、社会の隙間にこぼれ落ちた“ふつうの人”たちの人生。
読み終えて思ったのは、
「これは誰にでも起こりうる話だ」ということ。
あらすじ:18年間引きこもった男と、孤独な刑事の出会い
ホームレスの老女が殺され、焼かれた。
犯人は、47歳の草鹿秀郎。
18年間、引きこもっていた男だ。
彼はさらに、「父も自分が殺した」と自供する。
なぜ、長年家にこもっていた男が、二人を殺めたのか。
その人生に何があったのか。
事件を追う刑事・奥貫綾乃は、老女の姿に自分の未来を重ねる。
「もしかしたら、私もこうしてひとりで死ぬのかもしれない……」
加害者と捜査官。
ふたりとも、人生に絶望しながらも、生きていた。
草鹿と奥貫──違う人生、でも同じ“痛み”
草鹿は、中学のころ、オタク趣味が理由でいじめられた。
社会に出たときは、就職氷河期。
ブラック企業で心をすり減らした末、引きこもった。
「一時的なつもり」が、18年経っていた。
奥貫は、40代後半の刑事。
結婚も出産も経験した。
でも、子どもを愛せず、夫とも離婚。
今は、仕事に逃げるように生きている。
一人は、社会の外にいた人。
もう一人は、社会の中で踏ん張ってきた人。
違うようで、ふたりは同じ感情を持っていた。
「死にたい。でも死ねない。」
どちらも、「それでも生きるしかない」と、もがいている。
感想:「自分らしく生きる」は運なのかもしれない
「自分らしく生きよう」
そんな言葉はよく聞く。
でも、本当に自分らしく生きられる人なんて、どれくらいいるんだろう?
実際は、環境やタイミング、運に左右されてるのかもしれない。
草鹿のように、何かのきっかけで人生が止まってしまうことは、誰にでもある。
奥貫のように、社会にいながら孤独を抱えている人も多い。
氷河期世代だけじゃない。
今を生きる人、みんなそれぞれに苦しさを抱えている。
だからまずは、
「自分のまわりの人を否定しない」
そんな一歩を踏み出すことが、大事なんだと思った。
未来の価値観はきっとまた変わる
「自分らしく」なんて言葉。
戦後の日本にはなかった。
生きるだけで必死だったからだ。
でも今は、「自分らしくあること」が大切にされている。
これも、10年後にはまた違う言葉に変わっているかもしれない。
価値観は移り変わる。
だからこそ、“今”をどう生きるかが大事なのだと思う。
まとめ:誰もが、生きづらさを抱えている
『鼓動』は、8050問題や引きこもりを通して、
“普通の人”が抱える苦しみを描いた社会派ミステリーです。
草鹿と奥貫。
立場は違っても、ふたりの痛みはどこか重なっていました。
「死にたい。でも、生きるしかない」
その言葉が、読む人の心にも静かに刺さります。
生き方に正解なんてない。
だからこそ、身近な人を否定せずに向き合うこと。
そこから、何かが変わるのかもしれません。


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